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事業承継と相続(自社株問題を中心に)※2018年度の内容に更新※

2013.11.20

1事業承継問題とは?

 現在、団塊の世代が高齢化して、リタイアを検討する時期に差し掛か 

っており、事業承継の問題が大きな問題になっています。

 現経営者である創業者の父親などが、会社の後継者である長男などに 

会社の経営をしっかり引き継げるようにする事業承継の問題を考える

ことは、会社の後継者のためのみならず、会社の従業員など全ての会社

利害関係人のために非常に大事なことです。

 しかし、創業者自身が、生前に、事業承継が円滑にいくように十分な 

対策を講じていないと、相続を契機に、大きなトラブルが発生してしま

います。

 そこで、今回、事業承継の問題を取り上げたいと思います。

 また、後継者不足などで、事業を承継する人がいなくて黒字廃業が続 

出するなど日本経済に深刻な影響が出ていることを踏まえ、政府におい

ても平成30年に事業承継における税制についても特例措置を設けまし

た。

 更に、平成30年7月に公布された相続法の改正法案においても、遺

留分減殺請求制度及び特別受益制度の見直しがなされ、今までよりスム

ーズな事業承継がしやすくなりましたので、この点についても御紹介し

たいと思います。

 

2事業承継対策の必要性

  未公開企業において、会社の経営権の支配を確保するためには、自社 

 株式について最低限でも過半数(株式発行総数の50%超)を確保する必

 要があります。

 もし、創業者の父親が、相続開始前に、事前に自社株についての十分

な対策をしていなければ、例えば長男を後継者として経営権を委譲しよ

うと考えていたとしても、創業者である父親が死亡して相続が開始され

たことを契機に、株式が長男以外の他の相続人に分散してしまい、長男

が自社株式の過半数(50%超)を確保できずに、株主総会で取締役を解

任されるなどして、会社の経営権を受け継ぐことができないという問題

が生じてしまいます。

 このような問題を防ぎ、現経営者から後継者にスムーズに事業承継で

きるように、事前の対策が必要です。

 

【相続により株式が分散する例】

 

Y社株式が1000株あって、生前、創業者である父親の甲が600株、

後継者の長男Aが400株保有していた事例で、甲の死亡により、甲の

生前保有していた自社株の600株については、一見、法定相続分どおり、

甲の配偶者乙が2分の1の300株、長男A、経営に関与しない次男B

が法定相続分の各4分の1の各150株ずつY社株式を相続するように

みえます。もし、そうであれば、長男Aの保有株式は400株+150株

=550株となり、長男Aは自社株の過半数(550株、55%)を確保でき

そうにみえます。

 しかし、創業者である父親甲が保有していた会社の株式600株につい

ては、相続人の配偶者乙、長男A、次男Bの三人で600株全体を準共

有していることになります(民法264条、会社法106条)。

 そして、準共有の株式については、共有持分の過半数によって、株主

総会で権利行使ができる人が定まることになります(会社法106条、最

高裁平成9年1月28日判決:判例時報1599号139頁等)。

 よって、例えば600株の準共有の議決権を行使する際に、配偶者乙(準

共有持分が2分の1)と次男B(準共有持分が4分の1)が、長男A(準

共有持分が4分の1)でなく、次男Bを株主総会で600株全体の株式を

権利行使できる者に指定すれば、600株全体について長男Aは議決権を

一切行使できず、次男Bが600株全部を権利行使できることになりま

す。そうなれば、次男Bによって、後継者である長男Aは株主総会で

取締役を解任されて、会社から排除されてしまう危険があります。

 よって、このような相続を契機とした事業承継のトラブルが発生しな

いように、創業者及び後継者としては、生前にしっかり創業者から後継

者に自社株を集中させて承継させて、後継者がスムーズに会社の事業を

承継できるようにする対策を準備しておく必要があります。

3、事業承継における対策

 1、後継者に自社株を承継させる方法(生前に実現する方法としての売買・生前贈与、生前に準備する方法としての遺言等)

1【売買】

 創業者が、生前に、自分が保有している自社株を後継者に売買で譲渡 

する方法です。この方法は、生前に創業者から後継者に対して自社株の

承継が完全に実現でき、遺言の場合のように後日遺言の撤回等によって

結果が覆るような心配はなく、安定性があるということは大きなメリッ

トです。

 しかし、自社株の株式の評価が高額な場合は、後継者は自社株を買い

取る売買代金の高額な資金を自ら準備して対価を支払わなければなら

ないというデメリットが考えられ、全てのケースで生前の売買の方法で

後継者に自社株を集中させる方法が簡単にとれるとは限りません。

2生前贈与

 創業者が、生前に後継者に株式を無償譲渡するという生前贈与の方法

も、売買とともに、生前に後継者に株式を集中させて事業承継を実現さ 

せる有力な方法の一つです。

 この生前贈与の方法は、売買と同様に生前に後継者に株式を譲渡する 

ことで生前に後継者に自社株を集中することを実現できるというメリ 

ットがあるとともに、売買とは異なり自社株を譲り受けるに際して後継

者が対価を支払わなくて良いというメリットがあります。

 しかし、贈与税の税率は非常に高いため、自社株式の評価が高額な場

合は、贈与税の負担が重すぎて、生前に生前贈与の方法で後継者に自社 

株を無償譲渡をするという方法をとることが難しい事例もあると考え

ます。

3【遺言】

 もし、創業者が、生前に売買或いは贈与で、後継者に株式を譲渡する

ことが実現できない場合、どうしたら良いのでしょうか。

 このような場合に、創業者である父親が、生前に何も対策をとらなけ

れば、創業者が死亡したときに相続問題が勃発して、後継者が自社株の

過半数を確保できずに会社から追い出されるなどの大きなトラブルが

発生しかねません。

  創業者である父親としては、最低限、生前に遺言書を作成して、事業 

 用資産(特に自社株式)については後継者に相続させるという遺言書を

 作成するという対策をとる必要があると考えます。

 遺言書を作成する場合は、相続財産のうち、自社株などの事業用資産

は後継者に相続させ、それ以外の非事業用資産については非後継者であ

る次男などの他の相続人にも一部は相続させるという内容の遺言書を

作成することなどを検討すべきと考えます。

 創業者が、事業用資産(自社株、工場など事業不動産等)、非事業用 

資産(事業に無関係ない自宅など)も含め、全て後継者である長男Aに

全財産を相続させるという遺言書を作成してしまえば、他の相続人との

関係で、遺留分の問題が発生してしまう危険があります。遺留分とは、

遺言等で一部の相続人(長男)が殆ど相続するというような遺言書が作

成されたようなケースでも、他の相続人(長男以外)にも、法定相続分

の半分(直系尊属の場合のみ3分の1)については遺言書の内容如何に

関わらず、権利の主張を認めるという制度です(民法1028条)。

4、相続法改正により事業承継対策がよりしやすくなった

  1、相続法改正

   平成30年7月13日に昭和55年以来約40年ぶりに相続法に関し 

  ての大幅な見直し(改正)がなされました。

   今回の改正により、遺留分減殺請求権の改正、特別受益制度の改正 

  等によって、より事業承継対策が実施しやすくなりました。

 

  2、遺留分減殺請求制度の改正

   現行法において、遺留分制度においては、長男(後継者)、次男(非 

  後継者)の法定相続人2名の場合、長男・次男の法定相続分は各2分 

  の1となります。

   この場合、創業者の父が遺言で後継者の長男に全て相続させるとい

  う遺言を残していても、非後継者である次男は法定相続分の2分の1

  の2分の1の4分の1については遺留分減殺請求をすることができま

  す(民法1028条)。

   ですから、このようなケースで、次男が遺留分減殺請求をすること

  で事業用資産である創業者の父所有であった工場等も、長男4分の3、

  次男4分の1の共有になってしまうなどの問題が生じてしまい、この

  遺留分の問題が事業承継において大きなネックとなっていました。

   今回の相続法改正によって、遺留分減殺請求権については金銭債権 

  化することになり、長男は次男の遺留分については金銭で精算できる

  ようになりました(相続法改正後の新民法1042条から1049条)。

   また、金銭を直ちに準備できない受遺者又は受贈者の利益を図るた

  め、受遺者等の請求により、裁判所が遺留分の金銭債務の全部又は一

  部の支払いにつき相当の期限を許与することができるようになりま

  した。

   これらの相続法改正の遺留分制度の見直しによって、事業承継の対 

  策は現在より対応しやすくなりました。

   遺留分制度に関する見直しについては、相続法改正の改正法案の公

  布日である2018年7月13日から1年以内の施行が予定されていま

  す。

  3、特別受益制度の見直し

   従前、特別受益については、期間の制限がありませんでした。例え 

  ば、創業者である父親(被相続人)が生前に後継者に自社株式を贈与 

  或いは低廉売買したときに、これらが特別受益とみなされ、創業者で

  ある父親が死亡して相続が開始したときに、後継者である長男が、非

  後継者である次男からの遺産分割協議や遺留分減殺請求を受けたと

  きに、苦境に立たされるという問題が多発していました。

   今回の相続法改正により、特別受益の期間が無制限でなく、相続開

  始時から10年間に限定されることとなりました(相続法改正後の新

  民法1044条3項)。

   これによって、創業者と後継者である長男が生前から計画的な事業

  承継をすることで、相続開始から10年を超えた後継者への生前贈与

  などは特別受益とみなされなくなり、事業承継がよりしやすくなりま

  した。

   特別受益制度の見直しについては、相続法改正の公布日である

  2018年7月13日から1年以内の施行が予定されています。

5、事業承継税制の見直し

  1、事業承継税制の見直しの背景

   少子高齢化、団塊の世代の高齢化によるリタイア、後継者不足によ 

  り、中小企業においては黒字の会社でも黒字廃業する会社の続出など、

  特に中小企業の事業承継が日本経済の大きな課題となっています。

   そこで、政府は、今までの事業承継税制をより使いやすく、かつ納 

  税猶予制度の範囲も拡大する事業承継税制を平成30年に期間10年の

  暫定制度として認めることにしました。

  2、事業承継税制の特例制度

   今回の事業承継は平成30年1月1日~平成39年12月1日の間に 

  贈与・相続を行う者を対象とする特例です。

   事業承継制度の特例制度を受けるためには、平成30年4月1日~ 

  平成35年3月31日までの間に事業計画の提出が必要になります。

  3、事業承継税制の特例の中身

   ① 対象株式数・猶予割合の拡大

  <従前の制度>

   従前の制度は、納税猶予の対象になるのは、発行済議決権株式数の 

  3分の2までであり、相続税の納税猶予の割合は80%でした。

    ↓ 今回の特例により

  <改正内容>

   対象株式数の上限を撤廃し、議決権株式の全てを猶予対象とし、相 

  続税の猶予割合も100%となり、事業承継にかかわる金銭負担はゼロ

  となった(免除ではなく、あくまで猶予である)。

 

   ② 対象者の拡大

  <従前の制度>

   一人の先代経営者から一人の後継者のみが対象

    ↓ 今回の特例により

  <改正内容>

   贈与者は先代経営者に限定せず、複数でも可能になる。

   受贈者も複数の後継者(最大3人)を対象にできることとなった。

 

   ③ 雇用要件の緩和

  <従前の制度>

   5年間の雇用平均が約8割未満の場合、猶予された税額を全額納付 

  する必要があった(この雇用要件が事業承継税制をなかなか使えない

  大きなハードルとなっていた)。

    ↓ 今回の特例により

  <改正内容>

   5年間の雇用平均が8割未満でも猶予は継続(理由報告は必要)

 

   ④ 新たな減免制度の創設

  <従前の制度>

   事業承継時の株価をもとに贈与税額・相続税額を算定し、猶予取り

  消しとなった場合には、その贈与税額・相続税額を納税する必要があ

  った。

    ↓ 今回の特例により

  <改正内容>

   経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、事業承継

  時の価額と差額が生じているときは、売却時・廃業時の株価を基に納

  税額を再計算し、減免可能とすることで将来不安を軽減した。

 

  ⑤ 相続時生産制度の適用範囲の拡大

  <従前の制度>

   60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫への贈

  与が相続時精算制度の対象

    ↓ 今回の特例により

  <改正内容>

   現行制度に加えて、事業承継税制の適用を受ける場合には、60歳

  以上の贈与者から20歳以上の後継者への贈与を相続時精算課税制度

  の対象とする(贈与者の子や孫でない場合でも適用可能)。

   これらの事業承継税制の特例により、税制面においても、事業承継

  をスムーズにしやすくなりました。

6、最後に

  以上のとおり、近年、事業承継の問題が大きな問題となっています。

  そして、今回の相続法改正や事業承継税制の特例により、今までと比 

 べて、事業承継の対策はより対応がしやすくなっています。

ですから、相続人間で遺留分の問題をめぐってトラブルが生じないよう

に、生前から事業承継の対策としてどのような売買や贈与を活用すべき

か、遺言において後継者である長男に自社株を含めた事業用資産を相続

させたうえで、非事業用資産の一部については他の相続人にも相続させ、

遺留分の問題が生じないようにどのような内容の遺言を作成したほう

が良いか、事業承継の問題について、生前の早い段階から創業者、後継

者が専門家の助言を受けながら事業承継の計画を立てたうえで、その対

策をすべきと考えます。

 また、相続を契機に、事業承継問題で大きなトラブルが生じないよう

に、事業承継税制改正などの活用も含めて、事前に、税のプロである公

認会計士・税理士等に税金面でアドバイスを受けるとともに、法律面で

も法律のプロである弁護士にも事前に相続を契機に事業承継でトラブ

ルが生じないように、どのような対策を講じるべきかについて法的なア

ドバイスを受けることが大切と考えます。

 

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筆者紹介

柳沢 賢二
柳沢法律事務所
弁護士

一、弁護士として、依頼者のために、一つ、一つの案件について、専門家としての①専門性の高いサービスを、②迅速に提供することを心がけています。そして、常に依頼者のために、一つ一つの案件を全力で取り組んでいきます。

二、今、高齢者社会において、相続の問題は誰もが直面する重要な問題だと思います。今までの自分の人生の集大成を納得のいく形で終えれるように、残された家族の方々が困らないように、専門家として皆様の力になれる適切な解決方法の提案やアドバイスをしていきたいと思います。

三、相続の分野でも、紛争後の裁判所での訴訟業務だけでなく、紛争を事前に防ぐ予防法務的な視点から、遺言書の作成、任意後見・成年後見の活用、事業承継のアドバイスなどにも力をいれ、皆様の力になれるアドバイスをしていきたいと思っています。

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